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第10回 ルーチェ保育園・上村恵子先生

―子どもたちの「生きる力・想像力を引き出す」という理念のもと運営されているルーチェ保育園では、デザインの授業を実施するという珍しい試みをしています。今回は担当の上村恵子先生に西新宿園でお話をうかがいました。

モモエさん:
上村さん、本日はよろしくお願いします。上村さんはデザインの授業を担当されているそうですが、保育園でデザインの授業とは珍しいですよね。

ルーチェ保育園・上村恵子先生

上村さん:
はい。デザインというのは総合的な力が試されるものです。色やかたちの表現力だけでなく、数学や物理のような計算、自分が作ったものを人に伝えるためのプレゼンテーション力など、総合的な能力が必要になります。そのようなさまざまな能力を育むためには、「デザイン」は効果的と考え、取り入れました。
ティッカ:
なるほど。こちらの保育園はインテリアなどもとても洗練されていて、デザインについてのこだわりがいろいろなところから感じられます。
上村さん:
はい、今までの保育園とは違う保育園を作りたかったんです。大人の考えた子どもの世界を作るのではなく、本当に子どもたちが自分で考え、イメージできる環境を作ろうとしたわけです。たとえばクラスの子どもたちの誕生日を掲示する誕生日カレンダーってありますよね。
モモエさん:
はい、よくあります。かわいい動物などの絵に名前と日付が書いてあったりするものですよね。
上村さん:
私たちは、ただかわいいだけのものでは意味がないと考えました。子どもたちが毎日目にするものですから、それはもう教育のツールなんですよね。そういった観点からこのような誕生日カレンダーを用意しています。

ルーチェ保育園・上村恵子先生
ルーチェ保育園の誕生日カレンダー
(年齢によって数のアプローチが異なっています)

ティッカ:
円型のカレンダーなんですね!
上村さん:
そうなんです。円にすれば、時計と同じ感覚で見ることができますよね。また、1年が過ぎ、また次の1年が始まるということも気づくことができます。小さなころに毎日視界から入ってくるものってとても大切だと思うんです。そこは大人がきちんと何を見せればいいのか考えなくてはいけません。
モモエさん:
おっしゃるとおりだと思います。デザインの授業では具体的にどのような授業をされているんですか?
上村さん:
季節にあわせて月2回<あそぶ>+<つくる>のセットで実施しています。たとえば6月なら、雨粒を作ろうということで、カラフルなビーズやストローをゴムひもに通して傘のまわりにディスプレイ、運動会のシーズンには万国旗作り、3月にはお世話になった人への手紙など、さまざまなデザインをしています。
もちろんただ製作をさせるだけではありません。雨粒作りには、ビーズの大きい/小さい、ストローの長い/短いなど、実際に触りながら言葉と感覚をつなげる学びがあります。いくつビーズをゴムひもに通すかなど、数の概念を学ぶことにもつなげます。 机の上でのお勉強ではない、目の前のものを自分で作りたいという子どもの欲求に沿った学びです。

ルーチェ保育園・上村恵子先生

ルーチェ保育園・上村恵子先生
お手紙を出すという授業。手紙を書き、封筒を作り、ポストに出す。
一連の流れの中に選ぶ・合わせる・描く・祈る・貼るなどの学びがあります。

ティッカ:
まさに「かず」と「かたち」ですね!
上村さん:
また、声に出して「大きい」や「小さい」などの形容詞を言ったり、数をかぞえたりすることも大事ですね。五感を使うことで、暗記ではない理解へとつながります。

ルーチェ保育園・上村恵子先生
「ほそい」「ふとい」などの概念を学んでいます

モモエさん:
保育園の段階でそのような教育をされていれば、入学時につまずくことも少なそうですね。
上村さん:
保育園の中だけでなく、家庭での会話などもとても重要になってきますね。箸やくつ下などは、2つセットで使うものですから、集合の考え方ですよね。食事の時間や着替えの時間に、親子でコミュニケーションをしながら楽しく学んでほしいですね。
モモエさん:
家庭こそ、生活の中の学びができる場所ですからね。
上村さん:
産まれてからたった3年なのに、ものすごい差がついてしまうことがありますよね。ただ、その差は子どもたちのせいではありません。環境、つまり大人がどう関わったかの責任だと思っています。
ティッカ:
本当に子どもたちのことをいろいろ考えた結果の1つが、「デザイン」の授業なんですね。
モモエさん:
上村さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

● かず遊び「国旗をつくろう」

国旗づくりでかたちや分割を学ぶことができます。

ルーチェ保育園・上村恵子先生

  1. 1. 画用紙などで、国旗の塗り分けとなる長方形を作ります。
  2. 2. 色とかたち方向を考えながら、円・星なども加え、自由に組み合わせて自分の国旗を作りましょう。
モモエのチェックポイント!

モモエのチェックポイント!

切った画用紙は色とかたちでわけることができ、集合の概念を学ぶのにぴったりです。また、横や縦、交差などの言葉の意味も意識されます。

ルーチェ保育園では、これらの「たて」や「よこ」といった言葉を体の動きと合わせて声に出しているそうです。縦なら両手をあげて伸ばす、横なら両手を拡げる、交差なら手をクロスさせるなど、身体も一緒に動かすことで、概念の習得がより確実なものになりますね。

センスを育むのはもちろん、実際に手や体を動かすことで、言葉やかたちの概念も同時に覚えられるすばらしい遊びです。上村さん、かず遊びのご紹介をどうもありがとうございました!

プロフィール

上村恵子(かみむら けいこ)

上村恵子(かみむら けいこ)

ルーチェ保育園のデザインの先生